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蕎麦屋と小説?

Posted by PL編集部 on 2013. .29 余談ですが…
通勤途中に気になるお蕎麦屋さんがあります。
このお店は脱サラ風のおじさまが一人でやっているようです。
外には「手打ち蕎麦」ののぼりが立っていて、大きなガラス窓からは
棚に並んだ数種類の一升瓶(日本酒)と凝ったグラスが並んでいるのが見えます。
しかも店先に貼ってあるメニューを見るとお値段は立ち食い蕎麦並みの安さ!


ここまで聞けば、一度くらい入ってみてもいいかな? と思いますよね?
でも、絶対に入りたくない雰囲気なんです


そのお店は、お蕎麦の他にもうひとつ「ウリ」があります。
名前を書くと、お店が特定できてしまうので書きませんが、店主が余よほど好きなのでしょう。
誰もが知っている大物ミュージシャンの音楽(洋楽)が流れていることをウリにしているのです。

「●●●を聞きながら手打ち蕎麦を!」

というコンセプトらしいのです。

しかも、店主もそのミュージシャンを彷彿とさせるいで立ち。
さらに店内の大型モニターでは、そのミュージシャンのライブ映像が延々と流されていて…。
あのミュージシャンの曲を聴きながら、お蕎麦を食べたい人が、どれくらいいるんでしょうか?


そして、おそらくお客がほとんど来ないからか、
店の前を通るたびに怪しい手書きのポップやのぼり、ミュージシャングッズが増えていきます。
「晩酌セット●●●円」「70年代の音楽とともに!」


いったいこの店主は何がしたいのでしょう?
お蕎麦を食べさせたいのか? 音楽を聴かせたいのか?


これって、小説作りにも似ていると思うんです。
たとえば、最初は「読者と等身大のOLさんの恋愛小説を作りたい」と
著者さんからプロットが送られてきたとします。受け取った私は…


「確かに面白いけど、ただのOLとサラリーマンじゃ地味かしら?」
「彼氏を社長とか、アイドルにしちゃうとか?」
「いっそ彼女を企業スパイにしちゃう?」
「ライバルは実は未来から来た工作員!」
「時空警備隊なんていいかも~~!」


と、まあ、ここまで脱線することはありませんが、売れる小説にしよう、
差別化を図ろうと考えすぎてしまい、とんでもないことを考えている場合があるのです。
でもこれは、本来、何を読者に伝えたかったのかを、完全に失念してしまう悪いパターン。
それと、このお蕎麦屋さんは似ていると思ったのです。


もちろん、こんな状態のまま作品を世に送り出すことはありません。
私がひとりで暴走しても、他の編集部員がトントンと、肩を叩いて「やりすぎ」と言ってくれます。



サービス精神も差別化も確かに大事です。
でも、それはベースとなる「何をお客様(読者)に届けたいのか」が明確にあって、
はじめて効力を発揮するんじゃないでしょうか。
何がしたいのか、何を読ませたいのかを見失った小説は、決して読者の心には響きません。


あのお蕎麦屋さんも、もっとお蕎麦を前面に出せばいいのに…。
と、思いながら、自分の仕事ぶりを反省する今日このごろです。



紅子
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